RD06HHF1 VS RD06HVF1 [リニアアンプ]
引き続きRDシリーズFETの実験をしてみた。今回は06タイプ。
RD06シリーズをぐぐってみてもほとんど使用例が無い。唯一出てきたのがKENWOODのTS-590。ここでは、RD06HHF→RD16HHF1→RD100HHF1(PP)となっている。RD06HHF1とRD16HHF1はアイドリング電流1000mAでNFBをかけている。RD100HHF1には700mA×2=1400mAでトータル3400mA。従って13.2V×3.4A≒45Wもアイドル状態で消費している。低歪リニアとするためであろう。RD06HHF1の入力回路は抵抗とコンデンサーでレベル調整して入力、出力回路はチョーク負荷で出力しRD16HHF1に入力している。
今回の実験回路では、入力回路はマッチング回路を設けずコンデンサーで直入力、出力は(トロ活の広帯域5W)を参照して1:4のトランス出力としている。(回路図は4:1となっています。逆向きにして下さい)
RD00シリーズと同じく30MHzでの入出力特性を見てみた。電源電圧は13.8V、アイドリング電流はデータシート通り500mA。
平均してRD06HHF1が23.5dB,RD06HVF1が25.5dB程度の増幅率であった。差としてはRD06HVF1の方が2dB程度アップ。少ないように見えるが2dBは1.65倍程度なので5割り増しと考えればやはりVHF用の方が馬力がある。しかし変化率は実によくあっている。RH06HHF1のデータシートを見ると0dBm入力で33dBmもあるが、これはマッチングを取った入出力回路でのチャンピオンデータであろうから、この実験回路で考えれば妥当と思う。RD06HVF1ではデータシートとよく似た特性が出ている。
周波数特性は145MHzで17dBm強。この辺りの変化はRD00タイプと似ている。やはり回路的な要因だと思われる。特に出力側に使用しているコイルは、前出のブログで取り上げたものであり、HF帯域よりVHF帯で3dB程度損失が大きいこと、さらにインピーダンスのミスマッチを考えれば妥当な結果であろう。(周波数特性のデータはRD06HVF1を記録し忘れたのでRD06HHF1のみ。悪しからず)
ここまで実験してくるとRD16シリーズもやっておきたい。RD16HHF1のデータシートを見ると15dBm入力で40dBm(10W)とある。であれば、RD00HHS1で15dBmまで持ち上げRD16HHF1で10Wとすることも可能である。RD06シリーズもRD16もIdq(アイドリング電流)500mAであるからして、効率も期待できるかもしれない。
ここまでの実験で思うことは、アイドリング電流が大きくQRPハンディタイプには使いづらいが、固定機用としては、簡単な回路で安定して増幅できること、広帯域で使えることなどメリットがある。多くのRFパワートランジスタがディスコンとなってきている昨今、貴重なディバイスと言えると思う。最終的には、コイルのコア種類、巻数等を最適化し実用機用に仕上げるつもりだ。
訂正:回路図に於いて可変抵抗器の向きが違っていたので修正しました。(2012.11.29)
:回路図において出力コイルの接続が4:1となっていますが、1:4接続です。(2016.06.22)
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