FRG-7700修理 [その他]
FRG-7700修理
YAESUのレシーバーで1980年の発売。すでに30年以上前であり、1979年発売のTRIO(現KENWOOD)R-1000とともに人気のあったBCL受信機であった。
回路は、ほぼ同じようなものであるが、FRG-7700が多少後発の為か若干機能が多い。
音質ではやはりR=1000に軍配が上がるといわれているが、好みの問題であろう。
さて、この2機種であるが、故障も同じようなものが多い。
・ PLLのアンロック
・ バンドスイッチの接触不良
・ 表示不良(左写真)
・ ハンダ不良による感度低下
が主な故障である。
私が入手したものも、PLLが不安定、表示不良であった。PLLは、調整とハンダあげ直しで無事修理できたが、表示不良が厄介。
表示回路は、FRG-7700、R-1000ともに沖電気のMSM5524RSというVFD(蛍光表示管)インターフェース内蔵で周波数カウンタ及び時計/タイマ機能が入った特殊なICである。当然のことだが、絶滅危惧種(絶滅種かも?)であり、色々探ってみたが入手できない。海外ではまだ在庫があるようだが、ミニマムオーダーが何万円もするようなところばかりである。当然中国からの購入はやばい。
やむなくマイコンで自作することとした。とは言っても、私にはハードルが結構高い。
【MSM5524RSというIC】
沖電気製 40PのLSIで以下の機能がある。同種でLED用(MSM5523)やMSM5524,MSM5525等のバリエーションがあったようだ。秋月でもかなり以前に5524だか5525だかが販売されていたと記憶している。
・ VFD5デジット7seg表示
・ IF周波数シフト機能付き周波数カウンタ
・ 時計機能(AM,PM12時間表示)
・ タイマ機能(ON/OFFタイマ、60minスリープタイマ)
当然であるが、時計機能があるため常時電源が入った状態で使用されていることが多い。
また、VFDには30V近い電圧が常時かかっている。このためかLSI内部が故障し表示回路のドライバーが壊れやすいようだ。中にはクラックが入っているものもある。熱破壊したのではと想像できる。当時のCMOS製造プロセスも、現在と比べると劣っていたのであろう。なにせ30年前だから致し方ないところ。
【修理概要】
今回修理の方法としてマイコンを使い周波数カウンタ回路のみとした。これは、私の技量の問題と使用するマイコンATmegaシリーズでは、ポート数などの問題からの制約である。
全機能を目指すとすればカウンタとクロックで2個のATmegaを使う等の対応が必要となり、プログラムもかなり高度なものとなる。FPGA等が使えれば解決できるかもしれない。(私には無理)
【回路考察】
VFDは5桁でアノードコモン(接地)でカソード(ヒーター)に-30V弱が掛けられている。
このVFDとマイコンとのインターフェースが必要である。ボルテージバッファのノンインバーティングタイプのものが必要である。古い機械でVFDを使用したものの回路を調べていたら東芝のTC-5066BPを使用したものがあり、データシートを見てみるとアプリケーションにVFDの使用例があった。内部はPチャンネルのMOSFETオープンドレインである。これは現在でも同様のものがあるが、たまたま名古屋の第2アメ横のT無線に在庫があったのでこのTC-5066BPを使用することとした。FRG-7700のデジット制御にはPNPトランジスタ(2SA733)が入っているので、これをはずす必要がある。
周波数は、局発信号を合成し、74LS96で1/10されたものが供給される。具体的周波数として455KHz~30.455MHzの1/10 45.5KHz~3.0455MHzとなっている。このため3MHz程度の周波数カウンタであれば良いことになる。
基本的にはMSM5524をはずしたところから、必要な接続が可能な為ユニット式で構成できる。ただしMSM5524の電源は常時+5Vなのでスイッチで切れる+5Vからマイコン電源を供給する必要がある。
【プログラム】
ATmega48を使用した。言語はBASCOM-AVR。基準周波数は12.8MHzのクリスタル。インターフェースを別なICで行う為、周波数カウンタと表示データのダイナミック制御をプログラムする。これに関しては、「JA2NKDブログその2」に掲載している「蛍光表示管を使用した周波数カウンタ」で基本プログラムは作ってあるので、これを流用している。ただし元は2個のマイコンで作っているが、今回は1個のマイコンでカウンタと表示を行うよう改造している。実際にはFRG-7700を修理する為の勉強として周波数カウ
ンタを作ってみたのだが。
表示は100msecでKHz単位の表示(0MHz~30.000MHz)となっている。IFシフトはプログラム上で455KHz引いている。
【改造手順】
1)MSM5524RSをはずす。パタンをいためないように注意
2)20pinのソケットを2個取り付ける
3)Q52-Q56(2SA733x5個)をはずす
4)Q52-Q56のコレクタとMSM5524RSの対応ピンをジャンパで接続(図参照)
5)水晶32.768KHzをはずす(高さが邪魔な為)
6)マイコン用電源を74LS96の電源位置あたりから取り出す(図参照)
7)マイコンとインターフェースICを基板に組んで差し込む
今回はユニバーサル基板で組んだので結構配線がぐちゃぐちゃとなってしまった。基板でも作れればいいのだが、回路的に両面基板となってしまう。どなたか作ってくれないかな?
ほぼ同じ内容でR-1000にも使える。インターフェースを変更すればFT-107,FT-901あたりのYAESUカスタムICにも対応できそうだ。レストアには少し貢献できそう。
【サービス】
作成するのには少し技量が必要かもしれない。今の所専用基板対応は考えていませんが、ご要望が多ければ検討します。またAT-mega48は88,168等でもかまいません。
素晴らしすぎるとしか言いようがありません。今のところ快調な我が家のがもしおかしくなったら、その時はよろしくお願いいたします(^^;
by JI3KDH (2011-11-02 22:00)
毎度コメントありがとうございます。
まあ、どうにか周波数だけ読めるようになりました。
単なる周波数カウンタですけどね。
時計機能まで作るとなると結構大変なので、取り敢えずここまでです。
KDHさんは、最近コンデンサーとの格闘のようですね。
7700故障時にはお申し付けください。
by JA2NKD (2011-11-02 23:08)
はじめまして。私は岩田(JF1JAY)と申します。メールアドレスがわかりませんでしたので、
コメント欄にて失礼いたします。
9/19に三才ブックスから発売される「ラジオライフDX VOL4」において「受信機別の入手、
メンテ、改造特集」を担当することになりました。その受信機の中にFRG-7700があり、
検索したところ貴ブログがヒットしました。
つきましては記事内において、貴ブログを紹介申し上げたいと存じます。この部分です。
http://ja2nkd.blog.so-net.ne.jp/2011-10-31
どうか、よろしくお願いします。
岩田
by 岩田学(いわたがく) (2012-09-07 16:00)
コメント有難うございます。
こんなアマチュア的な内容でよろしいのでしょうか。
メールは、(muutan2011アットマークgmai.com)でお願いいたします。
by JA2NKD (2012-09-08 07:15)
メールは、(muutan2011アットマークgmail.com)
l が抜けておりました。 失礼
by JA2NKD (2012-09-08 23:27)