MRF255 [リニアアンプ]
A通商でRF用パワーFET(MRF255)が販売されていることは、既に巷のうわさとなっているので皆さんもご存知のことと思う。小生もご多分に漏れず入手。
このFETは12V用でメーカー製無線機にも採用されていた。FT-920、FT100、TS-570、IC-706等である。12Vで使えるパワーFETは少ない。従ってFT-920を除きモービル対応機に使用されているのは当然のことである。FT-920は、FT-1000のコストダウン機としてこのFETを使用したものであろう。
どのくらいのパフォーマンスがあるのかとデータシートを眺めてみる。
VDSS:36V ID:22A Outoput Power:55WattsPEP
Power Gain 13dBMin(54Mhz) Two-ToneIMD -25dBc Ciss:140pF
確かに馬力のあるFETである。54MHzで13dB以上 1W入力で50W以上出力できる。トランジスタでは無理。送信機を作る場合に1段ステージを減らすことが出来る。気になることはIMDである。-25dBはちょっと寂しい。MRF150あたりと比べると10dB以上悪い。トランジスタ並みかな。12V用であることから致し方ないのかもしれない。無理をしてパワーを搾り出すことは禁物。出力には十分なフィルタを使用する必要がある。
とはいえ手軽に使える電圧であるメリットは大きい。
用途としては、1個で50Wリニア(HF,50MHz)2個で100W(HF,50Mhz)となる。尚VDSSが低いのでAM運用は1個の場合10W程度まで、2個の場合で20W以下が無難。
取りあえず1個でデータシートを参考に50MHz狭帯域アンプで実験を行った。基板及びヒートシンクは、CBリニアジャンクの基板を使用(何度も実験に使っているため汚い。ご容赦) 入力、出力ともにLC同調となってる。エキサイターは、大昔のFMトランシーバーでLow出力2Wで行った。
VDD13.8Vで簡単に70W位出力された。しかし自己発振をおこした。基板が有り合わせであり、片面であり少々無理があるのかもしれない。一応基板は1点アースでヒートシンクに落としているのだが。また出力コイルが結構熱くなったのでデータシートのコイルではなく、銀メッキ線で大きなものに変更した。
自己発振が収まらないので少々トリマで同調点ピークをずらしている。(2W入力で50W出力)出力には7次バンドパスフィルタを付けている。高調波は問題ないレベルとなっている。
発振はあったものの簡単に13dB以上でることは感激である。また製作途中結構ミスマッチなどあったが、このFETは結構丈夫であると言える。
製作で困ったことがあった。マイカトリマ200pFとデータシートにあるが、入手困難。今回はジャンク箱をあさってどうにか150PFと300PFの2個が見つかった。残りは70PFのトリマに固定コンデンサーを取り付け製作した。今後LC同調式を製作するのは難しそうである。500PF程度ならばまだ入手できるようであるが。やはり今時風に広帯域とするしかないかな。
尚、三菱のパワーFET RD100HHF1、RD70HHF1も12V用であるが、MR255に比べるとかなり高性能である。(最近のモービル対応機に使用)VDSSも50Vある。しかしながらお値段が高い。それからすればMRF255のコストパフォーマンスは高いといえる。
時間を見て広帯域アンプを実験してみる予定。
はじめのして。JF3DRIです。
MRF255、購入したとのレポートはあちこちにありますが、実際に動作させた例は少なく、参考になりました。そういう私も、タンスの肥やしになってしまいそうですが。
>三菱のパワーFET RD100HHF1、RD70HHF1も12V用であるが・・・
プッシュプルのアプリケーション
http://www.radio-kits.co.uk/radio-related/Linear_PA/ANVHF027B(RD100HHF1%20PP).pdf
を見ると、RD100HHF1は、単体で100Wを保証するデバイスですが、2本使ったプッシュプルでも100Wを超えると急激にIMD特性が悪化するので、12V系の石の歪み特性は、こんなものかなと思いました。
by JF3DRI (2010-05-28 20:30)
JF3DRIさん コメントありがとうございます。
やはり電圧が高いほうが有利でしょうね。三菱のはVDSSが50Vなのでもう少し電圧を上げる手もあるかもしれません。
FETは高い電圧で使用したほうが出力インピーダンスでも有利になり、FETの特徴も生かせると思いますが、手ごろな電圧で使えることは捨てがたいメリットだと思います。
MRF255プシュプルで100W以下で軽く使うのがいいのでしょうね。
近いうちに作ろうと思っています。といってもいつになるやら。
by JA2NKD (2010-05-29 22:08)
私もいじってみました。
MRF255 50MHzアンプですが、設計が面倒だったので 以前 真面目(?)に設計した RD70HVF1の定数をそのまま使用しました。
この時は、20dB @50MHz 近く(1Wで80W程度ですが)安定に稼げました。
出力側のマッチングインピーダンスは近いのですが、入力インピーダンスが異なる様で、トリマーの位置が大きく異なっていました。 ここを改善するともう少し利得が稼げそうです。
カタログデータの 1W入力(ドライバの出力ですがあまり信頼が置けませんが)で 50W(ゲイン17dB)は出したかったのですが、30数W、ゲインにして 15.4dBしか取れなかったのが癪です。
by まえだ (2010-09-13 06:00)
まえださん コメントありがとうございます。
RD70HVF1と入力容量が違うせいだと思います。
このあたりは高周波用FETの難しさかも知れません。
かなり低インピーダンスなのでマッチングをきっちりしないと効率が上がらないようです。
今広帯域化に挑戦していますが、広帯域でマッチングを取るのはかなり大変です。
頑張ってください。
by JA2NKD (2010-09-13 21:25)