RD15HVF1 Push-Pull Linear Amplifir [リニアアンプ]
前回の予告通り 今回はRD15HVF1によるプッシュプルアンプを製作した。
RD16HHF1ではHFの低めの周波数をターゲットとしたため、50MHzではかなり効率が落ちていた。
今回はHFの高目から50MHzをターゲットとするためFETをRD15HVF1を使用している。
基本回路はRD16と同等である。
前回からの変更点は、FETの変更と周波数補正である。基板も新たに作り直している。また、FETの前と後の結合コンデンサーは、0.1uF+1000pとして高周波での損失が少しでも減るようにしている。
周波数補正も幾つか方法があるが、いつものように手当たり次第に試してみた。結果ドレインとアース間に330pFを入れることにより広域の出力が劇的に増加した。
また、21MHz-50Mhzでのバラツキを抑えるためNFBの抵抗を680Ωから390Ωとし均一化させている。このため全体での増幅度は10dB程度になっている。
詳細のデータ取りは行っていないが、リニア動作としてMAX20W ピークは25W以上となり概ね満足できる値となった。
どうしてもバイアス電流が500mA(FET1個あたり)のため小さい出力では効率が悪いが、現行入手できるデバイスで作れることと、安定に動作してくれることは、高周波トランジスタがほとんど入手できないため 貴重である。
RD16HHF1 Push-Pull Linear Amplifire [リニアアンプ]
7Mhz用10-20Wリニアアンプが必要になったこともあって、以前シングルでの実験後手付かずだった三菱パワーMOSFETのPush-Pullを試作してみた。
回路はごく普通の回路であり目新しいところは無いが、現在用意に入手できる部品を極力使用するよう心がけた。
【回路】
入力は、不平衡から平衡の変換としてフェライトコア(FT37-43バイファイラ巻8t)を使用した。FETのゲートとのマッチングは特に考慮していない。コンデンサーで直流をカットしゲートと接続。ゲートには定電圧電源(78M08)から1KΩ可変抵抗器を経由し電圧を印加。Igsが1個に付き500mA 合計で1A流れるようにそれぞれの可変抵抗器を調整する。
出力回路は、フェライトコア(FT50-43バイファイラー7t)で1:4のインピーダンス変換を行い、中点から電源を供給している。
その後フェライトコア(メガネコア43材 斉藤電機商会で購入)を使用し巻数比1:2 インピーダンス比1:4のトランスで平衡-不平衡変換を行い出力している。
NFB(負帰還)は、特に検討はせず、経験とNETでの記事を参考に適当な値(680Ω+0.033uF)としている。この値はまだ検討の余地がある。取り合えず作ってみてから。
【基板】
基板は、実験としては珍しくエッチングで作ってみた。部品を色々試すため、銅箔面を上にして、部品を直付けとした。これで、色々な抵抗値、コンデンサー、コイルを実験できる。
【動作】
当初出力メガネコアの巻数を1:3としていたが、うまくいかず巻数比1:2にしたところ非常にいい動きとなった。その他は、設計通りで、特に抵抗値などは調整せず、掲載した図面のような結果となっている。
7Mhzでは、最大値40W近くまで出ている。リニアの領域としては20W程度。まずまずである。出来ればリニア領域をもう少し延ばしたいところであるが、FETの性能限界に近いかもしれない。取り合えずの作にしては、いい値と思う。
7MHzSSBで10-20W出力には最適だと思う。CWには効率を考えると勿体無い。小電力変調用AMリニアとするならば、5-7位がMAXである。出来れば40W出力まで伸びて10WAM対応できればと思うが、無理をしてもとも思う。
ツイデニ28,51Mhzのデータも取ってみたが、20W程度までは何とか対応できそうである。もう少しコイルやコンデンサー補正、NFB等の最適値を探せば、7Mhz近い値まで追い込めるのではと考えている。特に28Mhzは可能性が高い。50Mhzは出力トランスの検討が必要かも知れない。欲張らずHF広帯域用20Wとするのが良いと思う。50Mhz用としては今後実験予定のRD15HVF1 Push-Pullに期待したい。
当初苦戦を想定していたが案外すんなり出力が出たことは非常に嬉しい。尚、効率については、バイアス電流が各500mAと言うところが効いており低出力では効率が悪い。やはり10-20W位で使うべきと思う。
次回はVHF用にトライしてみる予定。
訂正:2015.04.08 回路図修正
RD15HVF1リニアアンプ [リニアアンプ]
前回はRD06HVF1用の回路そのまま使用したものだったので、これを最適化し汎用的に使用できるようにしてみた。
【出力回路】
前回の実験ではインピーダンス変換トランスは5Wの為1:4であったが、MAX10W程度を考えて、
o=(Vcc-Vsat)^2/2RL 10=12^2/2RL RL=144/20=7.2
7.2:50に近い変換トランスとしてトロイダルコアを使用した1:9変換回路とした。
始め図に(A)として記載してあるコア1個を使用したトリファイラ巻き(3重)で実験してみたが、出力が大きいときにコアが結構熱くなったため、図い示した(B)のコア2個を使用したものを採用した。こちらではあったかくなる程度で済んでいる。出力はどちらもほぼ同じ傾向であった。
28MHz、50MHzでの使用を前提に周波数特性改善のためにコンデンサーでの補正を試みた。ドレインとアース間にコンデンサーを追加。カットアンドトライで270pFとした時50MHzで2dBアップとまずますの出力特性となった。変換トランスのOUT側をアース間にも小容量のコンデンサーを挿入することにより低域側が改善される場合がある。今回の場合、コア1個トリファイラ巻きの場合10pF程度で改善が見られた。コア2個の場合は、効果が見られなかった。
まとめると
・ 変換トランスは、FT50-43バイファイラ巻き(2重)8回巻きを2個使用した1:9トランス。線は0.5mmポリウレタン線。コアはFT50-61も実験してみたが、43材のほうが広域で良好であった。
・ ドレインとアース間にコンデンサーを挿入すると広域側(30MHZ以上)で特性補正が期待できる(今回は270pFを挿入)
・ 変換トランスの出力側とアース間にコンデンサー挿入(今回はなし)すると低域側(HF帯)で特性補正が期待できる。
【RFC】
RFCも適当なものを使用する場合が多いが、時として悪さをする場合がある。出力インピーダンスが低いため、そんなに大きくする必要もない。今回はトロイダルコア活用百科を参考にFT50-61 6回巻き(0.8mmポリウレタン線)を使用した。
【入力回路】
一番の難所である。FETの入力インピーダンスは、データシートからみるとそんなに高くない。よってインピーダンス変換回路で50Ωから下げて使うことが予想される。数少ない使用例でも33Ωでシャントしていたりする。このことから色々実験してみたが、どうも芳しくない。直結の場合のほうが良い結果であった。また、入力容量をキャンセルするためにインダクタを挿入する例もある。入力容量とインダクタでローパスを構成するようにしてキャンセルするというような使い方もあるようだ。しかしながら計算どおりにはいかない。そんなことで色々試していたが、JH8SSTさんからコメントを頂き、0.7uH辺りで改善ができたとのご報告を頂き、早々これを参考に実験してみた。コアT25-6に0.27mmポリウレタン線16回巻きからはじめて、少しずつ減らしてみた。12回でHFでは改善が見られたが、50MHzでは悪くなった。結果8回巻きで50MHzも含めて改善が見られたので、8回巻きとした。
・ 入力回路に直列にインダクタ(T25-6 0.27mmポリウレタン線8回巻き)を挿入
【バイアス電流】
バイアス電流は、データシート通り500mAとしていたが、少し変更してみた。結果は
・ 750mA~1Aで出力最大となった。といっても0.5dB程度
・ 500mA以下では出力が減少
・ 最終的に500mAとした。
【ヒートシンク】
バイアス電流が結構大きいため、効率はトランジスタに比べ悪い。その分内部損失が増える。長時間使用を考えると大きめがいい。今回以前未使用ジャンク品で購入してあったものを使用している。これはファン付のものであるが、ファンは使用していない。確かペンティアムセルロンだかのCPU用のものだと思う。フィンが多く効果が期待できる。
【改善】
ここでの改善とは、グラフを見てもらえばわかると思うが、最高出力に近いところでの伸び、要はリニアリティの改善である。5W(37dBm)で使用したい場合、そこでリニアリティが良いことが必要になる。グラフではほんの少しに見ええるが、実際は大きな改善である。37dBmで5W、3dBmアップの40dBmで10Wである。対数グラフの特徴である。今回の適正化で2-3dBの改善はとても大きな改善である。
【まとめ】
ここまで三菱の高周波パワーFETの実験を一通り行ってみた。バイアス電流が大きめであることから、効率がいいとは言えないが、安定してHF~50MHzの広帯域として使用できそうである。高周波パワートランジスタがディスコンとなっている現在、貴重な存在と思う。もっと使用例がWEBにアップされてもいいのではないだろうか。
IMD等ひずみの面で評価はしていないが、RD15HVF1,RD16HHF1を5W、RD06タイプを3W程度で使用すればリニアリティ等をみて、歪もそんなに悪くないと推測される。
注意:入力が20dBm(100mW)を超えるとFETがあっというまに破壊される。サチュレーション(飽和)領域がデータシートのようにはならない。
以上皆様の参考になれば幸いです。ご意見等があればコメントをお願いします。
RD16HHF1,RD15HVF1 [リニアアンプ]
一気にRD16HHF1及びRD15HVF1の実験をやってみた。
回路は前回のRD06タイプのものをそのまま使用。ちょっと横着かもしれない。然しながら、傾向くらいはつかめると思ったからだ。
その結果が左のグラフである。これを見ると
・ 06シリーズより15、16タイプの方が利得が高い。
・ RD15HVS1が最も高い。リニアリティーはどれも同じような感じである。
・ どれも入力10dBm弱でリニアリティーが崩れてきている。
となった。
周波数特性は、INPUT +10dBm で以下のポイントでOUTPUT(dBm)を見てみた。
IN=10dBm | RD16HHF1 | RD15HVF1 |
1.9MHz | 37.15 | 37.62 |
3.5MHz | 37.42 | 37.88 |
7MHz | 37.51 | 37.88 |
10MHz | 37.51 | 37.79 |
20MHz | 36.36 | 36.76 |
30MHz | 36.51 | 36.69 |
50MHz | 34.35 | 35.05 |
145MHz | 28.90 | 28.65 |
これを見てもRD16HHF1とRD15HVF1の差はごく小さい。145MHzにおいて逆転しているのは、回路及び部品の特質及び測定誤差と考えられる。
ここまでの三菱のRF用FETの実験を総括してみると
・ 20dBm以上簡単に増幅できる
・ 寄生発振などもあまり起こさない
・ 破壊体力もある(実験中1個も破壊しなかった)
・ HHタイプよりHVタイプの方が利得がある。(HF帯域について)
・ アイドリング電流が大きい。従って電力効率が悪い
・ HHタイプでも十分50MHzで使用できる。
私としてはRF電力増幅用としては、使いやすいと思う。これにコスト条件を考えると
06タイプと15,16タイプが殆ど変わらない(350円程度)ことから06より15,16タイプを用意しておけば色々活用が出来ると思う。
100mW~300mWクラスのRF用トランジスタも限られてくるから、00タイプも活用していきたい。お勧めとしては、RD00HVS1とRD16HHF16の2種類くらいでもいいと思う。145MHz帯をもターゲットに見るならRD16HHF1ではなくRD16HVF1がいいだろう。両方ストックする必要はあまり無い。
今後は、今製作している28-50MHzトランシーバーのRF電力増幅用としてRD00HVS1-RD16HVF1のコンビで使ってみる予定。その中で最適化を図っていくこととする。
検討課題としては、入力回路の整合と出力回路のコア選択、巻き数などを実験してみる予定。
訂正:回路図において可変抵抗の向きが間違っていたので修正しました。(2012.11.9)
RD06HHF1 VS RD06HVF1 [リニアアンプ]
引き続きRDシリーズFETの実験をしてみた。今回は06タイプ。
RD06シリーズをぐぐってみてもほとんど使用例が無い。唯一出てきたのがKENWOODのTS-590。ここでは、RD06HHF→RD16HHF1→RD100HHF1(PP)となっている。RD06HHF1とRD16HHF1はアイドリング電流1000mAでNFBをかけている。RD100HHF1には700mA×2=1400mAでトータル3400mA。従って13.2V×3.4A≒45Wもアイドル状態で消費している。低歪リニアとするためであろう。RD06HHF1の入力回路は抵抗とコンデンサーでレベル調整して入力、出力回路はチョーク負荷で出力しRD16HHF1に入力している。
今回の実験回路では、入力回路はマッチング回路を設けずコンデンサーで直入力、出力は(トロ活の広帯域5W)を参照して1:4のトランス出力としている。(回路図は4:1となっています。逆向きにして下さい)
RD00シリーズと同じく30MHzでの入出力特性を見てみた。電源電圧は13.8V、アイドリング電流はデータシート通り500mA。
平均してRD06HHF1が23.5dB,RD06HVF1が25.5dB程度の増幅率であった。差としてはRD06HVF1の方が2dB程度アップ。少ないように見えるが2dBは1.65倍程度なので5割り増しと考えればやはりVHF用の方が馬力がある。しかし変化率は実によくあっている。RH06HHF1のデータシートを見ると0dBm入力で33dBmもあるが、これはマッチングを取った入出力回路でのチャンピオンデータであろうから、この実験回路で考えれば妥当と思う。RD06HVF1ではデータシートとよく似た特性が出ている。
周波数特性は145MHzで17dBm強。この辺りの変化はRD00タイプと似ている。やはり回路的な要因だと思われる。特に出力側に使用しているコイルは、前出のブログで取り上げたものであり、HF帯域よりVHF帯で3dB程度損失が大きいこと、さらにインピーダンスのミスマッチを考えれば妥当な結果であろう。(周波数特性のデータはRD06HVF1を記録し忘れたのでRD06HHF1のみ。悪しからず)
ここまで実験してくるとRD16シリーズもやっておきたい。RD16HHF1のデータシートを見ると15dBm入力で40dBm(10W)とある。であれば、RD00HHS1で15dBmまで持ち上げRD16HHF1で10Wとすることも可能である。RD06シリーズもRD16もIdq(アイドリング電流)500mAであるからして、効率も期待できるかもしれない。
ここまでの実験で思うことは、アイドリング電流が大きくQRPハンディタイプには使いづらいが、固定機用としては、簡単な回路で安定して増幅できること、広帯域で使えることなどメリットがある。多くのRFパワートランジスタがディスコンとなってきている昨今、貴重なディバイスと言えると思う。最終的には、コイルのコア種類、巻数等を最適化し実用機用に仕上げるつもりだ。
訂正:回路図に於いて可変抵抗器の向きが違っていたので修正しました。(2012.11.29)
:回路図において出力コイルの接続が4:1となっていますが、1:4接続です。(2016.06.22)
RD00HHS1 VS RD00HVS1 [リニアアンプ]
前回に引き続き三菱の高周波パワーFETの話
今回はRD00HVS1である。データシートを見るとVdd=12.5V F=175MHz Pin=0.005W Po=0.5W 形状STO-89となっている。見た目ではRD00HHS1と同じで、混在すると見分けがつかない。
実験回路は、前回のものを使用しFETのみ取り替えたものである。
今回の目的が28,50MHzのトランシーバーに使用することを想定しているので、試験も30MHzで行った。
その結果(グラフ参照)を見るとRD00HHS1とRD00HVS1の差は1dB程度で殆ど同じカーブであった。高い周波数での比較を見ても、やはり1dB程度の差であった。
これは、素子の特性よりも回路自体による特性が利いていると思われる。145MHz辺りとなるとやはり入出力のマッチングをもう少し考える必要がある。とはいえこんな簡便な回路構成でも145MHzにおいても17dB以上の利得があるのはすばらしい。
前回の実験と併せて考えるとHF~50MHzで使うならばどちらでもOKである。値段も同程度。ストックするならより高周波での使用が期待できるRD00HVS1の1種類でも良いと思う。
暇が出来たら145MHzに特化して実験してみよう。
尚、前回の記事内 回路図においてT1:出力トランスの記述にミスがあったので、今回の回路図を参考にしてください。
リニアアンプ(三菱RD00HHS1) [リニアアンプ]
最近は高周波パワー系の半導体として入手できるものは数少なくなってきている。その昔は2SC799,2SC1306,2SC1307や2SC1969といったCBトランシーバー用として多くのトランジスタが出回っていたが、現在では製造中止となり入手不可能である。そこで最近ではIRF510等の高速スイッチング用FETを活用した製作例が多く見られる。これらは本来の目的ではないデバイスをアマチュアスピリットで活用している良い例であろう。その昔テレビの水平出力管(6DQ5,6DQ6等)を廃品回収会社(石川商店という我が家の近くの会社。現存している)のゴミの中から発掘し、分けてもらったのもその精神かも。特に東芝のトランス式テレビがお宝であった。また、電池管式ラジオも時々手に入った。
そんな中で比較的新しく現行品として三菱の高出力MOSFETシリーズがある。7.2V系と12.5V系でHFからUHF、数百mWから100Wまでと品種も多い。扱っている小売店もいくつかあり、アマチュア(個人)でも比較的入手可能である。
現在28MHz、50MHzの2バンドAM,FMトランシーバーの製作中であるが、そのファイナルの候補に予備実験をしてみた。
目標として0dBm入力でQRP33dbm(2W) 程度を目標としている。
100WタイプやUHF用としてはいくつかのアマチュア無線機に採用されているが小型のものは使用例が見当たらない。NETで探しても製作例は見当たらなかった。ということで、実験してみたのが以下のレポートである。
【ラインアップ】
代表的なラインアップとしては
HF帯 RD00HHS1(0.3W)→RD06HHF1(6W)→RD16HHF1(16W)→RD100HHF1(100W)
VHF帯 RD00HVS1(0.5W)→RD06HVF1(6W)→RD15HVF1(15W)→R70DHVF1(70W)
これ以外にUHF用等バリエーションは一通りそろっている。
【目標】
出力 :33dBm(2W)以上(このあと必要であればリニアアンプ)
電波形式:AM,FM
入 力:0dBm
以上のことからRD00HHS1(0.3W)→RD06HHF1(6W)で実験してみることとした。
【デバイス入手】
これらのFETは、ラジオハウスと樫木総業で入手 130円から350円程度と安価であった。
【実験】
今回はRD00HHS1(0.3W)の実験を行ってみた。
参考になる使用例が見つからないので、データシートから検討。
VDSS:30V ID:200mA Pout>0.3W Gp:19dB @Vdd=12.5V f=30MHz
S-PARAMETER @50MHz S11 (mag)1.005 (ang)-16.8
今回は実験であることと、HF帯(28MHz)からVHF帯(50MHz)なのであまりSパラを気にせず行った。(要するにSパラメーターは、よう解らん)
実験回路は入力側は、コンデンサーで直結。出力は4:1のインピーダンス変換で接続した。(回路図参照)Idq(バイアス電流)は、データシートを参考に50mAとした。ゲートには発振防止の抵抗(47Ω)。バイアス回路は広域から低域までのバイパスコンデンサーをつけてある。
実験として、入出力対比と周波数特性を見てみた。
入出力対比:SG(信号発生器)→DUT→アッテネータ→スペアナ
周波数特性:TG(スペアナ出力)→DUT→スペアナ入力
入出力特性はグラフの結果となった。(図参照)目的周波数において20dB以上の増幅度が得られ、出力24dBm辺りまでリニアに増幅している。。やはりFETは、すばらしい。トランジスタであれば10dBそこそこであろう。
周波数特性は、スペアナで100MHzと300MHzまで見てみた。(図参照)145MHzでも16.71dBあり、HF帯域では20-21dBmと結構フラットな特性が出ている。50MHz帯でも問題なく20dBを超えている。
今回出力側の4:1トロイダルコアにはラインノイズ用既製品コイルを使用している。バイファイラ巻き8ターンで1.9MHz等低域でも、問題なく20dBmを超えていた。汎用トロイダルコアならFT25-43、FT-37-43、FB801等で5t~8tでよいと思う。
この結果を見るとHF帯用のRD00HHS1でありながら、VHF帯まで十分使用可能と思われる。RD00HVS1なら145MHzでももっと稼げるはずである。
ならば、問題は無いのかと言えば、2つほど難点がある。1つは形状である。表面実装形ミニパワーモールドタイプ(SC-62?)の為ユニバーサル基板での実装が難しい。でも無理やり付けてみましたが。(写真参照) 2つ目は、無信号時(アイドリング)Idqが50mAである。13.8x0.05=0.69W(690mW) 0dBm入力20dBm(100mW)出力。かなり大喰らい。なのでアウトドアQRPに使用するにはエコではなくなる。300mW出力しても効率は50%行かない。触ってみると結構熱くなっている。一応10分程度送信試験をしてみたが、問題は無かった。参考にバイアス電流を変化させてみると20mA→10dB 30mA→18.2dB 40mA→20.40mA(@30MHz)であり、やはり50mAの時が一番効率が良い。
でも精神衛生上あまり良くない。出来れば専用プリント基板を作り使用したい。でも1品物ではエッチングも面倒。基板を作ってモジュール化し、汎用に使えるようにしてみようかな。
トランジスタであれば2段は必要と思われるから、アイドル電流が少々大きいが、使いやすいFETと言える。ドライバー段は、RD00HHS1で決まり。暇を見てRD00HVS1も実験してみよう。
次はファイナルRD06HHF1又はRD06HVF1を探ってみる。データシートを見るとアイドル電流500mAとなっている。これまた大喰らいだ。
リニアはRD100HHF1と行きたい所だがMRF255の死蔵品減らしを予定している。
今回はここまで。次回は何時になるやら。
MRF255その4 [リニアアンプ]
やっとMRF255プシュプルの実験を始めた。入手してからどれぐらい経ったであろうか。
まったく亀さんの歩みである。
回路は、FT-920の回路を参考に手持ち部品で構成。
【入出力トランス】
入出力トランス用コアは、CBリニアアンプについていたものを使用し、シングルアンプで良好であった耐熱同軸を使用したトランスとした。(写真参照)
【NFB】
FT-920と同じで考えていたが、ぴったりのコンデンサーがなかったので、0.01uFのセラミックコンデンサーと50Ωとした。NFB用コイルはFT82-43に耐熱電線10tに抵抗のリード線1t。
【バイアス】
半固定抵抗と固定抵抗のシリーズ接続で、安定化電源から8Vを供給。Idは各400mAとなるよう半固定抵抗を調整。
【動作】
この回路で作りっぱなしのデータとして、3.5~21MHzにおいては、2W入力で100W以上となっている。28~50MHzにおいては50Wという結果であった。作りっぱなしとしては、まずまずの結果となった。
なお、入力のマッチングは、SWR2~3以上で、さらに検討が必要。今のところ異常発振は無いようだ。
【今後】
今後は入力トランスを再検討し、さらにマッチングするようにしていく予定。
まあ、やっと実験用ユニットができた。完成はいつになるかな。
ということで、取りあえずのUPです。
MRF255その3 [リニアアンプ]
MRF255 リニアアンプその3
しばらく中断していたが、ゴールデンウィークの休みに再開。
前回50MHzに挑戦して、貴重なMRF255を3個も昇天させてしまった。
今回は、INPUT,OUTPUTのコイルを色々試してみた。
INPUT:
① バイファイラ巻き 4:1(ポリウレタン線)
② トリファイラ巻き 9:1(ポリウレタン線)
③ バイファイラ巻き 4:1(同軸ケーブル使用)
④ バイファイラ巻き2個 9:1(同軸ケーブル使用)
OUTPUT:
① 伝送路的トランス 1:4(同軸使用)
② 伝送路的トランス2個 1:9(同軸使用)
③ コンベンショナルトランス 1:9(同軸使用)
④ コンベンショナルトランス 1:16(同軸使用)
以上をとっかえひっかえ実験。途中経過は面倒なので省略
結果としては、3.5MHz~50MHzの広帯域には失敗。
成果としては、50MHzモノバンドリニア及び14MHz~28MHzのリニアとしては何とか形となった。
Fig1:50MHz用回路(回路図参照)
INPUTコイルは耐熱同軸使用の9:1(写真参照)
OUTPUTコイルはコンベンショナルトランス1:9(写真参照)コンデンサー330pF
この組み合わせで、入力2W 出力60Wをマーク
入力には3dBのアッテネータがあるので、MRF255への直接入力は1Wとなる計算だ。入力SWRも1.3程度とGoodな値となった。OUTPUTコイルを1:16にすると20W程度となってしまう。
Fig2:HF用回路(回路図参照)
INPUTコイルは耐熱同軸使用の4:1
OUTPUTコイルは、コンベンショナルトランス1:16
この組み合わせで7MHz~28MHzで40-60W程度となった。
コンベンショナルトランスの1次側に抱かせている補正用コンデンサーにより結構クリチカルに変化する。回路図の値でどうにか14-28MHzで50W前後となっている。ローバンドの場合は、もっと大きくする必要があろう。
最後にコンベンショナルトランスであるが、写真でもわかるように耐熱同軸を使用している。CBリニアなどのように耐熱線をくるくる巻いたものではない。前回掲載したFT-920のコイルと同様のつくりとした。同軸はたまたま入手した25Ω同軸を使用したが、50Ωでもいけると思う。ただし耐熱を使用すべきである。
メガネコアはこれもヤフオクで入手したものであるが、一般的なアミドン61材、43材や6B2コア(秋葉原ラジオセンター3階 S社で入手)を使用したものでもOKだと思う。
機会があれば追実験をしてみる。
MRF255シングルとしては、モノバンド用50Wリニアとして使うのが無難と思う。
なお、出力IMDは測定していない。出力スペクトラム(300MHzまで)を参考に掲載。
本使用の場合はくれぐれもローパスフィルタ等をお忘れなく。
いよいよMRF255x2リニアと進む予定。255も少し飽きてきた。無理して12V用FETを使わなくてもという気持ちもあるが、何せ安いからね。
とりあえず基板を作成して50MHzリニアとして完成させる予定。
いつになるやら。
MRF255その2 [リニアアンプ]
前回の狭帯域アンプに続き、MRF255を1個使用し広帯域リニアアンプを実験してみた。
MRF255の入力インピーダンスはデータシートのSパラメータから判断すると6.5Ω(at54MHz)程度とかなり低いため、取りあえず4:1の準伝送路トランスで低下させ10Ω(1W)抵抗でターミネートし直流カットコンデンサー(0.0033uF2個パラ)を経由しゲートに接続。この時入力容量140pFなのでコーナー周波数は1/(2πCR)=113.68MHzと計算される。
バイアスは、単に2.2KΩの抵抗と1.5KΩの抵抗で分圧しゲートに注入。
ID=400mAになるようにボリュームを調整する。実験では直接安定化電源を接続し、実験を行った。
出力回路は、50W出力と仮定するとRL=(VCC-Vsat)^2/2PO=(13.8-0.4)^2/2*50=1.79Ωとかなり低くなる。 電源電圧が低いから致し方ない。このため50Ωにするためにトランスで昇圧することになる。使用したトランスはCB無線用リニアのジャンク品を使用した。巻数比は1:4(インピーダンス比1:16)である。3.125Ω:50Ωとまだミスマッチである。逆算するとPO=28.7Wとなる。出力トランスには、周波数補正用にコンデンサーを付けている。またドレイン-アース間にも調整用に付けている。これらについてはトランスの特性によりCUT&TRYで決める必要がある。製作例などを参考にTRYし、今回は470pFと180pFとなった。
結果としては3.5MHz-28MHzまで1W入力で45W出力となった。(21MHzは少し下がる)
目標として50MHzを目指し思考錯誤してみたが、FETを2個消耗する羽目となった。
このトランスでは、無理と判断。CB用で得体が知れないこと、またコイルも結合が弱いのかも知れない。どちらにしてもミスマッチが原因と思われる。時として異常発振の可能性がある。試験を行う際には、かなり小さい信号(0dBm→10dbm→20dBm)と順に入力し、いくらか増幅していることを確認していき、最後に1W入力する等しないと、間違いなくFETが衝天する。電源もある程度電流制限していてもアッと言う間にダウン。このあたりはトランジスタより扱いにくい。狭帯域アンプの時は、特段問題が無かったのに。1個800円とはいえ痛い。
今回の実験をまとめてみる。
1) 入力回路は、準伝送路トランスでも、メガネトランスでもHF帯においては、問題ない。50MHzにおいては、不明
2) 出力回路は、メガネトランスの場合HFでは問題ないが、50MHzでは要注意。結合を深めるために同軸等を使用するか、伝送路型トランスにすべきかもしれない。
3) コンデンサーは、極力高周波特性、温度特性の良いものを使う。(ディップドマイカ、チップ等)
4) 調整には、極力小さい入力からスタートし、増幅作用を確認しながら実験を行う。増幅率が低い場合には決して大入力しない。間違いなく破壊される。
5) ダミー抵抗等しっかりした負荷で実験を行う。間違ってもオープン状態で入力しないこと。
今回リニアを製作するときの環境を構築する必要性を痛切に感じた。
エキサイターとしてトランシーバーと標準信号発生器(以下SG)を使用したが、トランシーバーでは1W出力に調整するのが手間である。所有しているSGでは+20dBm(0.01W)がMAX。できれば、0dBm~10W位のパワーSGがあると試験がスムーズである。またオーバーパワーのミスも少なくなる。
また、出力測定も結構難しい。アマチュア無線用パワー計は、結構いい加減である。バードのパワー計が入出力2台ほしくなる。(バードが言われるように正確ならば)
出力には高調波も含んでおり、正確な出力測定をするために目的周波数用のローパスフィルタを入れる必要がある。
出力を見るために方向性結合器とスペクトラムアナライザーをセットしておきたい。
また、トランスについての情報が少ない。以前故田縁OM(JA6BI)がHJに書かれた記事や山村氏の「トロイダル・コア活用百科」が参考になると思う。今回の実験を踏まえ今後の計画としては、トランスを入手しやすいコアを使ってシングルアンプを完成させる。続いてプシュプル100Wを目指す。
参考までにFT-920のファイナルの写真を載せておく。トランジスタリニアに比べると実にシンプルである。これを見てもFETが高周波アンプに適していることがわかる。問題は高性能のトランス製作が鍵となる。また、トランス巻き線も同軸がよさそう。入手しやすい部品を使用してこのあたりの実験を行ってみたいが、FETをかなり消耗しそうである。どなたか実験しませんか?