無線機テスター(AH-5411S)修理 [その他]
無線機テスター(安藤電気AH-5411S)は時々ヤフオクにも出品されている。たまたま修理をする機会があったので、その内容を簡単に記載します。
以前AH-5402の修理についてこのブログで掲載したが、それよりも後継機種だけに表示関係は液晶が中心となっている。基本的な測定項目はほぼ同じようだ。
今回の不具合は、やはり信号が出力されないとのことであった。聞くところによると同様の故障が結構あるとのことだ。
そこでまず、受信機測定モードにして、信号出力をスペアナで調べてみると信号がスキャン状態であった。これは明らかにPLLがアンロック状態である。そうなれば、PLLの基準信号なのか、分周回路なのか、VCOなのかを順番に調べていけば何とかなるであろうとあたりをつけたが、回路図も、ブロック図もないためどうなるか多少不安ではあった。
早速ケースをはずし内部をみるとAH-5402はブロック毎にユニットとなっていたが、AH-5411Sは信号発生器の部分が1つのアルミくりぬきのユニットとなっている。
順番に回路をチェック 基準信号は10MHzのVCXOから、1KHz,10KHz,100KHzなどを作りPLLに供給。このあたりは問題ないようである。PLLは多重PLLで構成されている。どこかのPLLブロックでアンロックしていると思われるので内部の信号経路を見ていく。
そのときLEDが1個点灯しているのに気づいた。(気づくのが遅い)たぶんアンロックのチェック信号だと気づく。最終段のPLL部分であった。ならばこの前段からの信号がおかしいのかなと調べてみたら、案の定前段のMMIC(高周波増幅用IC)の出力信号が弱い。入力側はOK。(AH-5402のときは、これがハイブリッドICであったが)ICにはA3などと書いてあるが、詳細は不明。とりあえず、同じような形状のミニサーキットのMAR-3にでも変えてみようかなと思い、このICをちょっと触ってみた。突然出力が出てきた。ありゃりゃ、接触不良かいな?半田付けをし直したら復活してしまった。
あっけない幕切れであった。なのでPLLブロックや周波数構成等をメモるのを忘れてしまった。。もう返却してしまったし。残念。
そこでおまけとしてこの無線機テスターで何ができるのか項目を挙げてみた。(取扱説明書から)
【送信系試験】
・ 送信電力、周波数測定
・ 送信機の変調ひずみ率測定
・ 送信機のS/N測定
・ 送信機の変調入力感度測定
・ 送信機のトーン信号周波数測定
・ 送信周波数差の測定
【受信系試験】
・ 受信機の復調出力レベル測定
・ 受信機の復調ひずみ率測定
・ 受信機のS/N測定
・ 受信機の12dB SINAD測定
・ 受信機の20dB NQS測定
・ 受信機の通過帯域幅測定
・ 受信機のスケルチ感度測定
・ 受信機のトーンの周波数偏移に対するスケルチ動作
業務無線用の測定器で業界の認定測定器と記載されている。昨今の無線機はデジタル化の並が押し寄せてきているので、この手の測定器もだんだん使われなくなっていると思う。当然測定器メーカーもこのような古い測定器の修理も終了している。ヤフオクではまだ、結構高い値段で出品されている。アマチュア無線としては50MHz~430MHzのFMトランシーバーの測定に便利だと思う。
コメント 0