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AD603 IF Amprifire [受信機]

 JA1DWM 進藤OMが発表された「ローバンド受信機の製作と測定」にAD603が使われている。聞きなれないICだったのでデータシートを見てみるとなかなか興味の有るICであった。特にIMDの良さには目を瞠る。AD603をググッてみるとJA3GSE OMもこの点に着目されている。
 実験用受信機で、MC1490と2SC2348フォワードAGCIFを作ってきたが、そこそこには動作するものの今一歩という感じであった。今回ebayでAD603が格安に入手できたので、早々実験に取り掛かった。

AD603-9 (1).JPG

 データシートを見ると、このICは、固定ゲインアンプとその前段にラダー型アッテネーターとコントロール回路がある。AGCはコントロール回路の電圧を変化させ、このアッテネーターを設定するというようになっている。つまり、アンプ自体の動作点は何も変化しない。MC1490や2SC2348のIFは、動作点を変化させゲインコントロールしている。ここが大きい違いである。また、入出力インピーダンスも低く(IN 100Ω OUT 500Ω)異常発振にも強いことが予想される。アプリケーション例を見ても広帯域での設計となっている。さらに先にも書いたようにIMDがすばらしく良い。いいこと尽くめのように思える。

AD603-10.JPG

 他の製作例を見ると±電源で作られている方が多いようである。回路的にはオペアンプのようなものなので、±電源のほうが、部品も少なくすっきりするし、AGCコントロール回路も簡潔に出来そうな感じであるが、やはり単電源が好みなので、アプリケーション例に載っている単電源回路で進めた。 (左図)
 取敢えず1段で実験。その結果は簡単に9MHzで40dBアンプとなった。また、コントロール回路の2pinの電圧を外部電源から加え変化させてみた。その結果は左図のグラフである。流石

AD603-1.JPG

にATTという結果となった。ATTコントロール回路の1pinは5.5V固定としている。5V~6V変化に対して実にリニアに変化している。更に最大で+10dBmまで出力されている。非常に強力でMC1490などと比べると良い結果となり、IF回路として非常に期待が持てる。参考に周波数特性も見てみた。40Mhz位までは30dB以上の利得が有る。100Mhzでも20dBは有る。(スペアナには10dBのATTを入れているので表示値に+10dB)



AD603-10.JPG と言うことで2段目を製作。9Mhzで80dBのアンプとして動作している。2段接続の場合ATTのコントロールは最初に初段のATT続いて2段目のATTとなっていくようにそれぞれの1pinの基準電圧を設定する必要がある。そのため1段目の1pinは5.5V 2段目の1pinは6.5Vというように1Vの差をつけている。この辺りの設定はOPアンプの設定と同じ感じである。

 さてAGC回路であるが、アプリケーション例の回路には簡潔な回路が示されている。トランジスタ2個で、NPNのベースエミッタのダイオード特性で整流し、NPN,PNPのコレクタを接続している。ここの値を8-5V近くに持ち上げ、整流電圧でコントロールしているようだ。ここに使われている抵抗の値が非常に細かい数値となっている。同じように作ってみるが、抵抗はE12系列から近いものを選択した。 たとえば4.99Kは4.7Kという具合だ、
 果たしてその結果は、まるで旨く動作しない。PNPはONのまま、NPNはOFFのままで9V程度の電圧が出っぱなしであった。そこで抵抗値を色々いじったが、あるポイントで旨くいくところもあるが、連続的にはコントロールできない。
 よくわからない動作である。ここで深追いしてもどうかなと思うところである。その訳はAGCスレショルドの変更が出来ない、AGC時定数の設定変更が難しそう。トランジスタの出力ではインピーダンスが低すぎる気がしている。
AD603-6.JPG そこで今回前にも作ったことがあるW1FB著「W1FB DESIGN NOTEBOOK」にあるFETとOPアンプを使ったオーソドックスな回路とした。
 結果どうにか使用できるレベルとなったのでTEST RECEIVER(実験用受信機)に付けて7MHzを受信。今日は生憎の雨模様でノイズレベルが高くAGC調整には向かないようであるが、有る程度の強い局で設定してみた。MC1490や2SC2348IFと比べると素直な感じで、ノイズも少ないような気がする。特にMC1490ではAGC設定により途中で飽和し、ノイズが多発することがあったが、そのようなことは無く余裕を持って増幅している感じがする。音も素直である。
 但しこのW1FBのAGC回路ではもう一つしっくり来ない感じである。AGCアンプもFET1段で有るが、もう少し増幅度を上げたいこととAGC電圧調整をすっきり出来るような回路を再検討するつもりである。この辺りが旨くできたら再度情報をアップしていきたいと思う。

 IFアンプ以外にも送信機のジェネレータ後のプリドライバーとしてパワーコントロールやALCコントロールにも感単位応用が出来そうだ。また実験用可変利得アンプとして1台作っておいても便利だと思う。更にAD8307とAD603を組み合わせ検出範囲の拡大に使うというアプリケーションもAD8307のデータシートに示されており、応用範囲の広いいいICだと感じた。今後私の製作の定番ICになりそうだ。 

 

 


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